炭酸ガス注入設備
carbon dioxide
高pH値の原水を浄水処理するには、凝集処理時の原水のpH値を適正にコントロールする必要があります。
pH値を下げるための薬品は種々ありますが、安全性・取扱性に優れた薬品である炭酸ガス(二酸化炭素)を用いた注入設備です。
原水pH値上昇について
表流水を水源とする浄水場において、近年、クリプトスポリジウム対策(ろ過水濁度0.1度以下)やアルミニウム濃度規制強化(0.2mg/L以下)から、
ろ過工程の前段である凝集沈殿工程が重要となっています。しかしながら近年、原水の水質悪化が進み、そのために凝集阻害を引き起こす場合があります。
その凝集阻害の原因のひとつが原水の高pH化です。
原水の富栄養化などにより藻類が大量に繁殖すると、その炭酸同化作用(光合成)により酸である炭酸が失われ原水のpH値は上昇してしまいます。
凝集の適正pH値は7.0前後といわれており、凝集阻害を避けるため適正にpH値を管理する必要があります。
炭酸ガスの特徴
- 炭酸ガスは無味、無臭の不活性ガスで取扱性に優れています。但し、水分と作用して弱い酸味、高濃度では刺激性臭気を呈します。
- 炭酸ガス注入による酸度の増加はありますが、アルカリ度の減少はありません。
- 万一、過注入となっても急激にpHが低下することがないため安全です。
- 使用する炭酸ガスは、大気に放出されていた石油精製の副生ガス等を回収・精製・再利用したもので、地球温暖化を促進するものではありません。
- 炭酸ガスは、気体の中でも溶解度が非常に大きく、すばやく水に溶けます。 (酸素の約50倍程度)
- 炭酸ガス注入後の水に消石灰を併用注入することより、水道施設・配管の腐食防止に優れた効果を発揮します。
炭酸ガス注入設備の特長
- 炭酸ガスボンベから炭酸ガス貯槽まで、さまざまな貯蔵形態、規模での実績があります。
- 食品添加物規格の炭酸ガスを使用します。
- 原水pH値変動に対して自動で注入率を算出し、炭酸ガス注入後のpH値を一定に保ちます。
- 炭酸ガス直接注入方式と炭酸水注入方式があり、浄水場のシステムに合わせて導入ができます。
炭酸ガス注入設備(貯蔵槽式)フロー図
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炭酸ガス注入設備(ボンベ式)フロー図
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